MAZONE de よもやま話 第3号

「『みろ屑』って何?って話」

 さて、「みろ屑ってどんな話?」→「こんな話」という過程をここでは踏んでいきたいわけですが、そもそも『みろ屑』って何やねん。という大前提からの解説になるでしょう。

 『ざまぁみろ、屑』通称 -『みろ屑』なわけですが、恐らく台詞のような話し言葉をタイトルにするという行為。なんとも洒落で、最後まで見逃せないポイントでもあります。

 「いつ言うの?」「誰に?」「誰が?」まぁまぁ、その期待は本編を見ていただきたいわけですが、本作、「屑」とタイトルにある通り、心が洗われる青春を求めている方には少々ダークな内容となっております。(そんな方にこそ見ていただきたいのはもちろん!!)

 とある高校。廃部寸前の映画研究部に、撮影が好きな「有吉修斗」がカメラを抱えて一人。そこに不意に現れた超美形の少女「椎名ユイ子」が訪問するところから始まります。監督と女優、そんな関係値に沿って話が進んでいくわけですが、肝心な彼らが撮りたい作品はというと、「死」。

 あれあれ?雲息怪しいな?と思う方は、もう一度本作のタイトルを復唱願います。

 では、「死」を撮影したいとは何事?という話に直結していくわけですが、ヒロインであり女優である椎名ユイ子は以前から壮絶な「イジメ」を受けていました。そして、「自殺」を決意しているのです。すでに。

 ですが、人間だもの、死ぬのには恐怖が伴い、同時に虚しさが伴うわけです。

 そこで彼女が取った行動が、「自分が死ぬまでの軌跡を撮る」という復讐でした。

 それも、ただ死の過程を見せるわけではありません。あくまでも映画であるため、椎名ユイ子自身が制作した、「死ぬまでにやりたいことリスト」を消化していきながら自殺を目指します。

 目標は「自殺」。こんな物騒な広告を打ち出すアニメが過去現在未来、あるでしょうか。

 それを、主人公である有吉修斗は「否定」するものの、最終的には撮影に前向きな姿勢へ。アニメには如何せん常人というものは存在しませんが、登場人物全員「屑」という形で、本作もそれらを遵守しております。

 しかし、全てがダークな話しなんだな~と決め打ちされますと、「異議あり!」なんて裁判を逆転させたくもなります。

 というのも『みろ屑』、大々的にジャンルを括れば「青春」であり「純愛ラブコメ」であります。20分にも満たないアニメが何を抜かしてやがる。なんて思うかもしれませんが、裏があるから表が際立つ。影があるから光が目立つ。そんな理論のように、短い時間に詰め込まれた感情の揺さぶりが群を抜いております。

 可愛い女の子の日常を描く映画を撮るんだ!こんな数十分を求めているのならば、図書館の絵本コーナーを探るべきです。

 エグ味があるから、小さな旨味がより一層美味しく感じる。砂漠のオアシスのようなものだと僕は捉えているのですが、自分の青春では絶対になしえなかった、苦しくも胸が熱くなる物語に、見終わった後の追体験した感覚は、きっと心に刻まれ続けるものになるでしょう。

 本当に椎名は自殺してしまうのか?

 有吉が選んだ決断は…?

 本編最後まで御視聴いただけると幸いです。

 ここまで『みろ屑』とは?を語ってきたわけですが、こんな所まで読んでくれたアナタは少しの恐怖と、興味を持ってくれたのではないでしょうか。今後、運営側が対処しきれないぐらい無断転載が急増し、アニメ好きだと語っているのに、この作品見たことないの??という未来まで「期待」しているので、ぜひぜひ古参になっていただきたい気持ちです!!

 と、閉幕寸前ですがここで強く補足させてください。

 本作は決して「自殺」を冗長する作品ではございません。

 誰であろうと、いついかなる時も、人間は復讐のために命を捨ててはいけず、どんな理由でも投げてはならず、そういう選択肢が出てしまわない世の中を心から望んでおります。

 誰にも相談できない。相談できる相手がいない。こう思っている方、こう思っているかもしれない人を見て見ぬふりをしている方。必ず助けてくれる大人がいます。必ず味方になってくれる大人がいます。自分が大人だとしても、手を差し伸べてくれる人がいます。

 逃げてはだめです。常識の範囲内で、立ち向かうことも時にはいいでしょう。

 相談←この言葉では足りません。救助を求めてください。泣きついてください。

 イジメは良くない!なんて、子供じみたことを言わせてください。

 胸に手を当てて、この作品と向き合ってくれると、なお幸いです。

 では。


字/脚本 本江太陽

Twitter: https://x.com/tubaki_MAN_7974

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